ソウルの台所から

韓国で人気の料理や、家庭料理、宮廷料理などのレシピ、韓国でのできごとなどを綴ります。

韓国、夏の定番 オイジ(胡瓜の塩水漬け)

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こんにちは。

今日は、夏になると必ず市場に登場するオイジを紹介します。日本語で言うと、胡瓜の塩水漬けといった感じです。

韓国の漬物といえば有名なのはキムチですね。キムチは、にんにくや唐辛子、香味野菜など色々なものを一緒に漬け込み、発酵させたものです。発酵させないで醤油や酢、砂糖などで調味液を作って漬ける漬物はチャンアチ/장아찌と言います。塩水に漬けて熟成させて作るオイジが、キムチなのか、チャンアチなのか、色々調べてみたのですが、はっきりしませんでした。むしろ、”干大根、干椎茸”と同じ感覚で、保存食の一種と言った方が当てはまるかもしれません。

胡瓜で作るこのオイジは、夏の保存食として昔から伝統的に作られ食べられてきた韓国の夏の味です。日本にも胡瓜の塩漬けがありますが、塩を振って重しをし水分を抜いて作る日本の胡瓜漬けに対し、韓国のオイジは塩水にどっぷり漬けて必要以上の重しはせず、水分をあまり絞らず漬け込みます。気温が高い季節は、時間が経つと表面に不純物が浮いてきたり膜が張ってきたりしますが、漬け汁だけ沸かしてしっかり冷ましてまた胡瓜を漬ける、を繰り返せば常温でも長く保存ができます。冷蔵庫の無い時代は、二日に一回沸かして冷ましてはかけて、保存していたとのことです。昔の人の知恵は素晴らしいですね。

オイジを作るときは、韓国の人は皆”オイジ用の胡瓜”を買ってきてつくります。オイジ用の胡瓜だからといって何か味がちがうわけではなく、一般に売られている胡瓜よりも少し小ぶりで短めというだけです。これを50本まとめてドーン!と売っているわけですが、さすがに4人家族で50本もオイジを食べるわけではないので、私は”胡瓜のキムチ用”として売られていた10本入りのものを買ってきて作りました。この胡瓜が通常の胡瓜よりはるかに大きくて、なんと長さが30cm!全量2.5キロオーバー!漬物容器の選別に困りました~。

でもちゃんと成功しましたよ♪上手くできたのは良かったのですが…

おととい10本のオイジが8日がかりで完成して、ほくほくしていた私を見て夫が

「そんなに作ってどうするの?」

私「え?食べるんだよ。食べるでしょ?」

「食べるけど、ぼくそんなに好きじゃないよ。」

!?

😭え~、作ってからそんな事言わないでくれよ~😭胡瓜買いに行ったときに、「オイジ作ろ♪」って言ってたの聞いてたはずなのに!!…男脳だから、そんなつぶやき聞いてなかった可能性はある。というか、韓国人ならみんなオイジ好きなんだと思い込んでた。まぁいいや。私がオイジ好きだから。

発酵食品を作るって、育成ゲームに似た楽しみがあるんですよね。微生物の力を借りて、おいしいものに育て上げる?感じが。そんな発酵の世界の不思議に魅せられて、発酵学の第一人者、小泉武夫先生の本を楽しく読ませていただいたりもしました。発酵について、料理を越えてそのしくみに興味を持たれた方はぜひ読んでみてください!読み物としても、小泉先生の本はとても面白いです。

では、長くなりましたが、レシピです。

ちなみに、このオイジ、作ってそのままかぶりつくわけではございません。すっぱしょっぱい味を活かして和え物にしたり、冷たい汁にしたり、たくわんの代わりに海苔巻きに入れたりします。食卓に上げるには、さらに一手間加えなければならないのですが、それはまた次回書くことにします。

 

【材料】

胡瓜    2.5㎏(韓国の胡瓜大きいもの10本)

塩     200g

水     2L

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【作り方】

1.胡瓜を優しく洗います。胡瓜に傷ができると悪くなりやすいので、塩をもみこんだりせず、水で優しく洗ってください。へたの蔓が長い場合は短くカットします。

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2.鍋に水と塩を入れて溶かし、沸かします。

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3.塩水が沸いたら、火を止めてすぐ容器に入れた胡瓜に注ぐか、直接鍋に胡瓜を入れて漬け込んでください。(今回は胡瓜が長すぎて丸い鍋では収まらず、キムチ用の大きいタッパーに漬けました。)

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軽く重しをして、常に胡瓜が塩水の中にどっぷり漬かるようにしてください。

ゴミなどが入らないよう覆いをして、胡瓜が熟成するのを待ちます。

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※一日経ったところです。胡瓜の色が黄色っぽくなってきています。

4.途中、不審なものが浮いてきたら(カビとか)漬け汁だけ沸かして、しっかり冷ましてから胡瓜にかけてあげてください。

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※3~4日後に少し不純物が浮き始めたので、一度漬け汁を沸かして冷まし、かけました。30度を超える日が続いていましたが、それからは完成まできれいな漬け汁のままでした。

5.1週間から10日ほど熟成させ、食べてみて青っぽさが無くなっていたら完成です。(今回は8日間で完成しました。)胡瓜の漬物の爽やかかつ熟れた匂いが、なんともいえないです!

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熟成後、冷蔵庫で保存する場合は、漬け汁から引き揚げて長期保存可能です。

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☆POINT☆

・必ず塩水に胡瓜をどっぷり漬けるようにしてください。塩水の表面から胡瓜が出ていると腐ってしまいます。

・胡瓜は5月~6月中旬までに出回るおいしい胡瓜を使ってください。(韓国の胡瓜は夏場、苦みが出たりと味が落ちる。)

 

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